立ち向かう楽観主義、ふたたび。

運転免許の返納手続きをする。

高齢者ドライバーによる事故があまりにも多すぎて、胸が痛い。

 

人間なのだから、身体能力の衰えは誰にも確実に訪れる。
自分も含め、例外はない。

 

「まだまだ大丈夫! いける!」

 

とどんなに自分が思っていたとしても、だ。


周りの家族が「ちょっとやばいかも?」と感じていても、本人は「問題ないい」と思い込んでいる場合だってあるだろう。「(免許を)返したくない」とゴネて、家族と衝突する話はよく聞く。

 

それでも立て続けに起きた事故のせいで、都会では免許返納者が相次いだという。だが、たとえば田舎の場合、都会のようにバスや鉄道だけで移動できないという死活問題が立ちはだかる。病院や買い物といった生活の足を絶たれると困る、という地方の事情は深刻だ。
小さな巡回バスや乗り合いタクシー、移動販売車など各自治体の取り組みがもっともっと広がるといい。

またまた前置きが長くなってしまったが、タイトルの通り、高齢の義父が免許を返上することをついに決意。
ここまで、けっこう長かった。

 

誕生日が来るたびに免許の話にはなるが、

 

「車がないと困る」「近所なら大丈夫」「次の更新には」

 

など、なかなか自主返納するところまでうまく話を持って行けず、歯がゆい思いをしていた。父だけでなく、母もいい顔をしない。
母も、買い物に連れて行ってもらえないと困るのだ。

 

時には、本人が感情的になってしまうこともあった。
高齢者の年代にとって、運転免許はステイタス。プライドが邪魔をするのである。
これは心当たりな方も多かろう。


離れて暮らす家族としては、とりあえず車には乗らない、病院や用事などがあれば、家族の誰かが車で連れて行ってあげると約束する方向で、何とか乗り切ってきた。

 

しかし、今年に入って体調を崩してから、父の気持ちが弱気になっていく。その少し前から、運転の操作に不安が出てきて実際に乗らなくなっていたこともあり、ついにその時が訪れたのだ。

 

運転免許の自主返納をすることになった。

運転免許の自主返納をすることになった。

 

物事には、勢いが大事である。
他にも手続きすることがいろいろ出てきて、そのついでのように話をさりげなく持ちかけてみたら、どうやら、自分で行くのは歩くのが辛くて気が進まないし面倒だし、ということらしい。
それなら! 絶賛代理人申請、やってやろうじゃないの。

 

まず、自治体の警察公式サイトで、「運転免許の自主返納について」調べる。必要な提出物がいろいろ確認できる。


免許を自主返納した場合、「運転経歴証明書」を作ることができる。これは、顔写真付きで免許証に代わって身分証明書となるので、大変便利だ。ぜひ作っておくことをおすすめする。

 

また、自治体によって運転免許の自主返納特典(優遇処置)がある。タクシーの割引などが主なものだが、中には温泉やバス、配達料の割引など、それぞれの都道府県によって制度は異なるようだ。
岡山県の場合は、運転経歴証明書とは別に「おかやま愛カード」が発行され(無料)、それを見せるとタクシーが1割引だったり、登録された店での割引が受けられたりする。

 

タクシーが割引になるのは大きい。

タクシーが割引になるのは大きい。

 

免許全取り消しの場合、必要な書類は

 

・申請者本人の免許証

・(運転経歴証明書作成に使う)顔写真

 

(写真は以前、こういうこともあろうかと外出時に撮っておいた)

 

代理人が申請する場合は、これに加えて

 

・申請者本人が署名・押印した「委任状兼承諾書」

代理人自身の運転免許証等の本人確認書類

・申請者本人と住所が異なる親族が代理人の場合、本人との続柄が確認できる書類

 

いずれも、岡山県の例だ。
「委任状兼承諾書」は、県警公式サイトからダウンロード可能。
調べていると、委任状などではダメで、申請者本人にその場で電話して意思を確認するという自治体もあった。


代理人の場合、委任状を書くときには注意が必要となる。
申請する本人が書かなくてはならない場合がほとんどで、代理人が代わりに書いていって「ダメです」と言われたケースが別のときにありつらかった(金融機関関連のときだったと思う)。
日付とか抜けがちだから、気をつけてね!


あと、窓口に行ってから「えー聞いてないよー!」みたいな事態も多々起きるので、あらかじめ電話して関係機関に詳しく聞いておき、

 

「○○に確認したら、こうしなさいといわれたのでそうしました」

 

という「裏付け」は大事。自信を持って対処できる。


父に「明日書類を持っていくよ」と伝えておいたら、前の日から字を書く練習をしてくれていたらしい。ありがとうありがとう。


「手が震えて文字が書きづらいんじゃ……うまく書けないんじゃ」

 

という父を、


「上手に書けてるよ!」「すごい! がんばった!」


と励ましながら、時間をかけて書類を書いてもらった。
これからは、代理人がいろんな手続きをするケースも増えていくだろうが、こういうのが一番きついよなあと思ったりする。

 

さらに今回のケースでは、申請者との続柄が確認できる書類が必要とのことで、離れて暮らしている&血の繋がりがない、ということで、戸籍謄本を取るしかないという結論に。
これもまた、なかなかにハードルが高い(450円かかるし)。

 

これらの書類を携えて、最寄りの警察署で手続きを終えた。

 

書留料金を払えば、申請者の自宅に直接運転経歴書を送ってくれる、とのことだったのでそのようにした。直接警察署に取りに来ることも可能ではあるけれど、その引き換え用紙にもまたもや「委任状」と書いてあったからである。
なるべく減らしたい、そういうの。
警察署の窓口は混雑しており、これなら遠くても免許センターに行けばよかったかも、とちょっと後悔したり。

 

 

それにしても、自分だってそう若くもない。
自分の運転免許の返納はいつになるだろうか、時が来たらしゃっと自主返納できるかなあ、などと思いを馳せたりするのであった。

 

運転経歴証明書は、運転免許証とそっくり。

運転経歴証明書は、運転免許証とそっくり。

 

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